用語

スロット

スロット

7つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

遊技・公営競技・盤上遊戯

パチスロ(回胴式遊技機)

slot machine

パチンコ店(ホール)で、メダルを投入しレバーとボタンで回転リールの図柄をそろえて遊ぶ機械、パチスロの通称。法令上は回胴式遊技機と呼ばれ、風営法の適用を受ける店に設置される。ホールでは「スロットコーナー」のようにパチンコと分けて呼ぶ。

今日はパチンコではなく、スロットコーナーの新台を打ちに行く。

航空

発着枠

airport slot

空港で1日または一定時間内に離着陸できる回数の枠。運用時間や管制の処理能力、騒音対策などで上限があるため、混雑空港では航空会社がスロットの配分を受けないと就航できない。日本では成田、羽田、関西、大阪(伊丹)、福岡が混雑空港に指定されている。

羽田の昼間帯のスロットを新規参入の航空会社にどう配分するかが議論になった。

半導体・電子部品

拡張スロット(差込口)

expansion slot

基板上に設けた、拡張カードやメモリーなどを差し込んで機能を足すためのコネクター部分。PCI Express スロットなら、グラフィックボードやネットワークカード、SSD を載せる。規格ごとに形状と転送速度が異なるため、カードとスロットの規格を合わせる必要がある。

このサーバーは PCI Express スロットが4本あり、ネットワークカードを増設できる。

インターネット広告

広告スロット(広告枠)

ad slot

Webページ上で広告を表示する場所を指す。Google Publisher Tag では、広告ユニットのパス・サイズ・表示先の div を指定してスロットを定義し、広告リクエストを出す。媒体社は SSP(媒体側の広告販売の仕組み)にこの枠を出し、入札で埋める。

記事の下部に新しいスロットを定義し、SSP 経由で入札を受けられるようにした。

機械・生産

スロット(鉄心の溝)

slot

電機子巻線を設置するためにステータ鉄心やロータ鉄心の円周上に空けた複数の溝。

出典:ニデック モーター用語集「スロットと歯」

モーターの設計・製造で、巻線を収める鉄心の溝を指す。固定子(ステータ)にも回転子(ロータ)にも設けられ、溝と溝の間に残る突起を歯(ティース)と呼ぶため、基本的に歯数とスロット数は等しい。スロット数と磁極数の組み合わせはモーターの仕様を表すときによく使われる。

このモーターは12スロット10極で、巻線は集中巻にしている。

ゲーム・eスポーツ

装備スロット(装備枠)

equipment slot

RPGなどで、キャラクターが武器・防具・アクセサリーなどを身につける場所ごとに設けられた枠。頭・右手・足のように部位別に用意され、原則として1枠に1つを装備する(両手剣のように複数の枠をふさぐ装備もある)。スキルをセットする「スキルスロット」のように、同時に使える数の上限を表す枠としても使われる。

このゲームは称号を集めるとスキルスロットが増えて、編成の幅が広がる。

通信・電波

タイムスロット(時分割の区間)

time slot

TDMA(時分割多元接続)で、1つの搬送波(情報を載せる電波)を時間で細かく区切った単位。利用者や端末ごとに別のスロットを割り当てることで、同じ周波数を複数の通信が共有できる。日本の第2世代携帯電話のPDC方式などで採用された。1フレームを複数のスロットに分ける構成が基本になる。

この方式では、1フレームを8つのタイムスロットに分け、端末ごとに割り当てる。

スロットは溝、差込口、そして枠になった

英語では slot の一語で済むものが、日本語ではモーターなら「溝」、パソコンやサーバーなら「差込口」、空港や広告なら「枠」と、業界ごとに別の漢字を当てて訳されている。訳し分けているうちに、同じ語だということが見えにくくなった。

細い穴が先にあった

語源辞典 Etymonline によれば、「何かをはめ込む細い開口部」という意味の slot は1520年代に現れる。それより前は、喉の付け根のくぼみを指す語だった。モーターの鉄心に巻線を収めるために空けた溝も、基板に拡張カードを差し込む口も、この意味にいちばん近い。

硬貨の投入口から機械の名前へ

機械が絡むのは次の段階である。Etymonline は、硬貨を入れる機械の開口部という意味を1887年、slot machine という複合語を1888年の記録としている。Wiktionary は、遊技機を指す slot を slot machine の縮めた言い方と説明する。パチスロやホールのスロットコーナーで言う「スロット」は、もとは機械の硬貨投入口の名前だった。日本のホールでは、その一部の名前が機械全体の通称になった。

空港の発着枠には、手で触れる穴がない。あるのは時間の区切りである。Etymonline では、「一覧表や時刻表の中の位置」という意味の slot は1942年から記録がある。Wiktionary はこれを、時間の区間を紙面や装置の部品の区間になぞらえた比喩的な広がりとしている。航空業界向けの解説によると、IATA が混雑空港への調整事務所の設置を後押しし、推奨手続きと配分の優先順位を初めて公表したのは1976年だった。

Web 広告の ad slot は、ページ上の決まった場所を指すので、空間の枠である。それでも入札で売り買いされ、表示の機会が時間とともに入れ替わるところは、空港の枠に似ている。これは書き手の見立てで、資料で確かめた話ではない。

Etymonline の記録を並べると、細い開口部から硬貨の投入口まで約360年、そこから時刻表の位置までは約55年である。モーターの鉄心の溝を指す語が、1942年には時刻表の中の位置も指していた。