略語

SP

エスピー

8つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

広告(マス・屋外・販促)

販売促進

Sales Promotion

広告で高めた認知や好感度を、実際の購買につなげるための施策の総称。キャンペーン、店頭のPOP、チラシ、サンプリング、イベントなどが含まれる。広告代理店では、マス広告とは別にSP担当・SP局が置かれ、SPツールの制作が仕事になる。

春の新商品はCMだけでなく、店頭SPとサンプリングを組み合わせて売り場に落とし込みます。

スポーツ・フィットネス

ショートプログラム(フィギュアスケート)

Short Program

フィギュアスケートのシングルとペアで、決められた要素(ジャンプ、スピン、ステップなど)を規定時間内に演技する種目。フリー(FS)に対して「短い」ことからこう呼ぶ。SPの得点とフリーの得点の合計で順位が決まるため、報道では「SP首位発進」のように使う。

世界選手権の女子はSPで首位に立ち、フリーでの逆転を許さなかった。

音響・レコーディング

SP盤(78回転のレコード)

Standard Playing

1分間に78回転するシェラック製の円盤レコード。LP(Long Playing)やEPが登場したのち、それ以前の標準的な盤を区別して「標準の再生」の意味でSPと呼ぶようになった。片面の収録は数分程度と短く、針や再生機も現在のLP用とは異なる。

戦前のSP盤を復刻するため、専用の針で78回転の音をデジタル化した。

Webサービス・SaaS・アプリ

スマートフォン向けサイト(SPサイト)

Smartphone

Web制作で、PC向けサイトに対してスマートフォン向けに作ったサイトや表示のこと。制作現場では「PC/SP」と並べて、デザインや画面幅の指定を分ける。タッチ操作や画面の狭さのためにメニューや情報量を変える必要がある。

デザインカンプはPCとSPの2パターンで納品してください。

行政・公的機関

要人警護の警察官

Security Police

警視庁警備部の警護課に属し、内閣総理大臣や衆参両院議長、最高裁判所長官などの要人を警護する警察官。1975年に発足した。拳銃などを携行でき、民間の警備員(ボディーガード)とは権限が異なる。呼称は、警視庁警護課の警護員だけを指すとされる。

首相の演説会場には、SPが聴衆の動きを見ながら周囲を固めていた。

ゲーム・eスポーツ

スキルポイント

Skill Point

ゲームで、キャラクターがスキルを習得するために使うポイント。レベルアップや敵の撃破などで貯まり、強力なスキルほど多くのポイントが必要になる。作品によっては、戦闘中にスキルを使うたびに消費する値をSPと呼ぶこともある。

このキャラはSPを貯めてから強力なスキルを覚えさせたい。

生命科学・バイオ

シグナルペプチド/サブスタンスP

Signal Peptide / Substance P

分子生物学では、新しく作られるタンパク質のN末端にある16〜30アミノ酸ほどの短い配列(シグナルペプチド)を指す。細胞内の輸送先、たとえば小胞体へ運ぶ目印で、輸送後にシグナルペプチダーゼ(SPase)で切り離される。神経科学・生化学では、痛みの伝達に関わる11アミノ酸の神経ペプチド、サブスタンスPの略でもある。文脈で見分ける。

分泌させたいタンパク質の遺伝子の先頭にSPを付け、培養上清に出てくるか確かめた。

保険

一時払(一時払保険料)

Single Premium

契約時に保険期間全体の保険料をまとめて払う方式、またはその保険料。毎月・毎年払う平準払(regular premium)の対になる言い方で、商品名にもSPが使われる。支払いが1回で済み、以後の払込みはない。英語資料での確認が中心で、日本の保険会社の公式資料でのSP表記は確認できていない。

この商品はSPなので、契約時に保険料の全額を払い込みます。

SPは後からついた名前と、最初からあった名前

SPの由来を調べると、同じ二文字なのに、レコードと警護とで名前のつき方が逆になっている。

相手が現れてから名づけられたSP盤

1948年、コロンビア・レコードが33回転の塩化ビニール盤、つまりLP(Long Playing)を発表した。片面に15〜20分ほど収録できる盤である(サウンドハウスのコラムによる)。それまでの78回転のシェラック盤は片面に数分ほどしか入らなかったが、この時点まで単に「レコード」と呼べば足りた。区別すべき相手がまだいなかったからだ。

長く再生できる新しい盤が出て、初めて古いほうに名前が要った。そこで「標準の再生」という意味でSPと呼ぶようになった、と説明されている。「78回転の盤は出た当初からSPと呼ばれていた」と思いがちだが、そうではない。当時の人々にとってそれはただのレコードで、SPという名前は、LPの登場を待って意味を持った。古いほうは自分で名乗ったのではなく、新しい盤に対して呼ばれる側に回ったのである。

同じコラムには、筆者の見聞として、日本以外ではSPやStandard Playingという表記を見かけず、英語圏では「78rpm」や「Shellac Records」と書かれることが多い、という記述もある。個人の見聞なので、ここでは断定しない。

最初から名前があった警護のSP

警視庁のSPは、順序が逆になる。1975年6月16日、佐藤栄作元首相の葬儀に参列していた三木武夫首相が暴漢に襲われた。警護の警察官が付いていながら防げなかったことに、警察当局は衝撃を受けたという。

同年9月13日、SP(Security Police)の部隊が発足した(楽天証券の解説記事による)。事件の6月16日から数えて89日で、3か月に満たない。部隊を作る段階で名前も決まっており、対比する相手を待つ必要はなかった。

SP盤が名前を得たのは、LPが出た1948年以降である。警護のSPが名前を得たのは、部隊が発足した1975年9月13日だ。二つの意味が生まれるまでに、27年の開きがある。