用語

スプレッド

スプレッド

3つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

証券・投資

価格差・売買の気配差

spread

相場の値段の開き、価格差、利回り差のこと。サヤともいいます。

出典:金融・証券用語解説「スプレッド」(大和証券)

2つの価格や利回りの開き。FXや株式では買値と売値の差が取引コストになり、債券では国債との利回り差が信用リスクの大きさを表す。割安と割高の価格差を狙う「サヤ取り(スプレッド取引)」にも使う。

この通貨ペアはスプレッドが狭いので、短期売買でもコストを抑えやすい。

銀行・融資

上乗せ金利(融資スプレッド)

spread

融資金利を決めるとき、TIBORなどの基準金利に上乗せする幅。借り手の信用力に応じて決まり、優良企業ほど小さい。「融資金利=基準金利+スプレッド」の式で表す。預金金利との差である利ざやを指す場合もある。

今回のシンジケートローンは、TIBORに0.5%のスプレッドを乗せた条件で組成された。

印刷・DTP・デザイン

見開き

spread

本や雑誌で、開いたときに向かい合う左右2ページを1つの単位として扱うこと。InDesignなどのDTPソフトでは、見開き単位でレイアウトする。図版が2ページにまたがるデザインを見開きスプレッド(クロスオーバー)とも呼ぶ。

このグラフは見開きスプレッドで大きく入れるので、ノド(綴じ側の余白)にかかる部分に注意してください。

広げる語が、価格差にも見開きにもなった

FXの取引画面で「スプレッドが狭い」と言えば、買値と売値の間隔が小さく、取引コストが低いということだ。同じ語を、DTPの現場では本を開いた左右2ページの意味で使い、銀行の融資では基準金利に乗せる幅の意味で使う。これほど離れた使い方が一つの英語に収まっているのは、元の動詞が「広げる」という広い意味を持っていたからに違いない。

日本語での呼ばれ方

金融では、大和証券の用語解説が「相場の値段の開き、価格差、利回り差のこと。サヤともいいます。」と書いている(金融・証券用語解説「スプレッド」)。カタカナのスプレッドと和語のサヤが並んで使われるわけだ。銀行の融資ではスプレッドとそのまま呼び、「上乗せ金利」と言い換えることはあまりない。

印刷では事情が違う。「見開き」という日本語が定着していて、スプレッドと書くのは主にDTPソフトの画面や海外の資料である。InDesignなどは見開き単位でレイアウトするので、ソフトの用語としてカタカナが入ってきた形になる。

年代を見ると

語源辞典 Etymonline によれば、動詞 spread は12世紀末の中英語 spreden にさかのぼり、元の意味は「広げる、のばす」である。名詞では1690年代に「広がり、ひろがった範囲」の意味が現れる。経済用語としての「二つの数字の差」は1919年、「ばらつきの程度」は1929年が初出とされている。

「広がった範囲」という意味が先にあり、そこから価格差の意味が出たと読める。見開きも開いた二ページであり、広がった範囲を指す点で同じ筋に置ける。ところが、印刷の意味がいつ生まれたかは今回確認できていない。冒頭の「広い意味があったからに違いない」は、金融と経済用語については年代が支えるが、印刷までは裏が取れていないことになる。

年代がそろっても、指すものは違う。見開きは、広がった中身である左右のページそのものを指す。金融のスプレッドは、二つの価格のあいだのすきまの大きさを指し、融資のスプレッドも、基準金利と実際の貸出金利のあいだの幅である。

ノド(綴じ側の余白)にかかる図版を気にする編集者が見ているのは、開いた面だ。FXの画面を見るトレーダーが数えているのは、買値と売値のあいだの幅である。同じ「開き」でも、片方は面を使い、もう片方は幅をはかっている。