TA
ティーエー
6つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
ティーチング・アシスタント
Teaching Assistant
大学院生などの学生が、講義・演習・実験の補助にあたる制度、またその学生。教員の指示のもとで授業を支え、大学教育の充実と、本人が指導の経験を積む機会をつくることが目的とされる。業務には手当が支給され、学生の処遇改善にもなっている。
来週の演習は、TAが課題の採点と質問対応を担当します。
ターミナルアダプタ
Terminal Adapter
電話機やFAXなどアナログ式の通信機器を、ISDNのようなデジタル回線で使えるように信号を変換する装置。DSU(回線終端装置)とパソコンなどの間に置くか、DSUを内蔵した機種なら直接ISDN回線につなぐ。
古いFAXをISDN回線で使うために、TAを介して接続した。
トラフィック・アドバイザリー(TCASの交通情報警報)
Traffic Advisory
航空機衝突防止装置(TCAS)が、接近する航空機について運航乗務員に知らせる警報。TAだけを根拠に回避操作はせず、相手機の目視確認に努める。回避操作は、別に出るレゾリューション・アドバイザリー(RA)に従って行う。
TAが出たので、副操縦士が相手機を目視で探した。
タレントアクイジション
Talent Acquisition
タレントアクイジションとは、自社の経営戦略や事業戦略を実現するために、必要な人材へ積極的にアプローチする採用活動のこと。
経営戦略や事業計画から必要な人材像を描き、中長期で人材を獲得し続ける採用の考え方。応募を待って欠員を埋める従来の採用と違い、採用ブランディングや、候補者・辞退者との関係づくりまで含めて扱う。
来期の事業計画に合わせて、TAの考え方で候補者との関係づくりを前倒しで始めた。
治療領域
Therapeutic Area
製薬会社が研究開発・メディカル・営業の体制を分けるときの、関連する疾患のまとまり。がん、免疫、神経、循環器などがその例で、領域ごとに専門の人員を置き、開発パイプラインの優先順位や研究投資もこの単位で決める。Therapy Area とも呼ぶ。
新薬の開発方針は、治療領域(TA)ごとに戦略をまとめて決めている。
テクニカル分析
Technical Analysis
過去の価格と出来高の推移をチャートで読み、今後の値動きを予想する手法。企業の業績などを調べるファンダメンタル分析と対になる。移動平均線やRSI、MACDなどの指標を使う。英語圏では TA と略して書かれることがある。
決算を見る前に、TAで直近の高値と安値を確かめた。
TAが鳴っても、操縦は変えない
TCAS(航空機衝突防止装置)がTAを出したとき、操縦席で最初にすることは、操縦桿を動かすことではない。国土交通省の指針では、TAだけを根拠に回避操作はせず、接近する航空機の目視確認に努める。避ける動きは、あとから出るRA(レゾリューション・アドバイザリー)に従う。TAは、窓の外を見ろという合図である。
同じ二文字を、製薬会社の人事が資料に書いたとしよう。「TAごとのTAを見直す」。前のTAは治療領域、後ろはタレントアクイジションかもしれない。製薬会社は研究開発・メディカル・営業の体制を、がんや免疫、神経といった治療領域で分け、領域ごとに専門の人員を置く。そこへ、事業計画から必要な人材像を描いて採用を続けるタレントアクイジションが重なる。一行に二つのTAが並ぶ場面は、ありえない話ではないと思う。ただ、実際にそう書く会社があるかどうかは確かめていない。
残る三つは、それぞれの職場では一語で通じる。大学院生が演習の採点と質問対応にあたるティーチング・アシスタント。アナログのFAXをISDN回線で使うために信号を変換するターミナルアダプタ。過去の価格と出来高をチャートで読むテクニカル分析。最後の一つだけは、立場が少し違う。TAと略して書かれるのは英語圏で、日本語の現場でもそう呼ばれているのかは、確かめられていない。
六つを並べて目に入るのは、動き方の差だ。航空のTAは、鳴っても操縦を変えさせない。ターミナルアダプタは、古いFAXを買い替えさせずに間へ入る。どちらも、すでにあるものを動かさないための存在である。
人事のTAは逆を向く。応募を待って欠員を埋める従来の採用と違い、候補者や辞退者との関係づくりを前倒しで始める。待たずに声をかけにいく。
操縦席ではTAが鳴り、乗務員は窓の外に相手機を探す。同じ日の人事の机では、別のTAが、まだ応募してこない人への連絡を促している。