TN
ティーエヌ
4つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
ねじれネマティック(TN液晶)
Twisted Nematic
液晶パネルの駆動方式の一つ。電圧のオン・オフで液晶分子の向きを変え、バックライトの光を通したり遮ったりして表示する。パソコンや携帯電話などで広く採用されて生産技術が確立しており、比較的安価に作れる。一方、視野角が狭く、見る角度で色や明るさが変わりやすいため、色味を重視する用途には不向きとされる。IPS・VA方式と並べて比べられる。
色を重視する作業にはTN液晶より視野角の広いIPS液晶を選んだ。
全窒素(T-N)
Total Nitrogen
水中の窒素化合物の総量を表す水質指標。窒素は藻類の栄養になるため、湖沼や閉鎖性海域では増えすぎると富栄養化を招く。環境基準では生活環境項目として全りんとともに定められ、水域の類型ごとに基準値がある。窒素・りんは排水規制の対象にもなる。
この湖は全窒素の環境基準が達成できておらず、流入負荷の削減が課題だ。
真陰性
True Negative
検査で陰性と出て、実際にも病気がなかった場合の件数や結果。検査結果と実際の疾患の有無を並べた2×2表の一区画で、特異度(病気のない人を正しく陰性とできる割合)の計算に使う。検査が陰性なのに病気があるのは偽陰性で、別のものとして区別する。
この検査は真陰性が多く、病気のない人を正しく陰性と判定できている。
TN系統
TN system
低圧電気設備の接地方式の区分の一つ。電源の中性点を直接接地し、機器の露出部分を電源側の中性線・保護線につなぐ。中性線(N)と保護線(PE)を分けるTN-S、1本のPENにまとめるTN-C、途中で分けるTN-C-Sがある。変圧器側の接地だけでなく、需要家側に独立した接地極を設けるTT系統や、電源を直接接地しないIT系統と区別される。
この建物の低圧配線はTN-S系統で、中性線と保護線を分けて配線する。
TNのNは、糸と窒素と陰性と中性線
辞書サイトでTNを引くと、同じページにモニターの話と湖の水質の話が並ぶ。Weblioの「TN」には、IT用語辞典バイナリの「液晶パネルの駆動方式の1つで、電圧をオフにすることで画面を白色を表示し、電圧をオンにすることで黒色を表示する方式」という説明のあとに、水処理関連用語集の、有機性・無機性の窒素化合物に含まれる窒素の総量という説明が続けて載っている。
液晶と窒素に縁があるとは思えない。二文字が重なったのは、ただの偶然なのだろうか。
偶然だと言ってよさそうだ。ただ、Nの中身を一つずつ見ると、重なり方が意外に深い。
糸、窒素、陰性、中性
TN液晶のNはnematic(ネマティック)で、英語版Wikipediaによればギリシャ語のnema、つまり「糸」から来ている。糸状に見えるのは、液晶の中に現れる糸のような欠陥(disclination)で、分子そのものが糸なのではない。Tはtwisted(ねじれ)で、電圧のオンとオフで分子の向きが変わる。
水質のT-Nは、Total Nitrogenの全窒素だ。Nは窒素そのもの。
検査の世界のTNはTrue Negative(真陰性)で、陰性という結果が実際にも正しかった場合を指す。偽陰性とは別の区画に入る。
建築・電気設備のTN系統になると、Nは中性線に関わる。Passive Componentsの解説は、Tを「terra」とし、「T (terra) stands for a direct connection of the source neutral to earth」と書く。電源の中性点を直接接地する、という意味だ。Nは、機器の露出部分が電源側の中性線につながることを表す。
並べると、Nは糸、窒素、陰性、中性を一文字で受け持っている。Tも、ねじれ、全体、真、大地(terra)と四通りに分かれる。
冒頭の検索結果に戻ると、液晶の説明と全窒素の説明は、どちらも「TN」だけで同じ見出しにぶら下がっている。ネマティックのNと窒素のNは、辞書の同じ画面の上で、隣り合っている。