略語

TP

ティーピー

7つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

土木・測量

東京湾平均海面

Tokyo Peil(Peil はオランダ語で水準線の意)

標高0mの基準とされる東京湾の平均海面。T.P.+3.0m のように書き、土地の高さを全国共通の物差しで表すのに使う。日本水準原点は東京湾平均海面上24.3900mにある。川や港では荒川工事基準面(A.P.)を使う場合もあり、図面では基準面の確認が欠かせない。

この護岸の天端高はT.P.+4.2mで、現況の地盤高より1.5m高い。

自然・環境

全りん

total phosphorus

水中に含まれるりんの総量を表す水質項目。全窒素(TN)とセットで、湖沼には類型ごとの環境基準が1982年に定められた。

この湖は夏にアオコが出るので、流入河川のTPを毎月測っている。

医療・医学

総蛋白

total protein

血清中のたんぱく質の総量を測る血液検査の項目。基準値はおおむね6.6〜8.2g/dL(施設により差がある)。低いと栄養状態の悪化やネフローゼ症候群、高いと多発性骨髄腫や脱水などが疑われ、アルブミンなどと合わせて肝臓・腎臓の状態を見る。

健診結果のTPは基準内だったが、アルブミンが低めだった。

会計・税務・監査

移転価格

transfer pricing

海外の関連会社との取引で付ける価格(移転価格)と、その価格をめぐる税務の実務のこと。取引価格が第三者との通常の取引価格(独立企業間価格)と違い、日本の所得が減っているときは、独立企業間価格で取引したものとみなして課税される(移転価格税制)。辞書では英語の transfer pricing taxation を略して TP とも書く。

海外子会社への販売価格がTPの面で問題にならないか、税理士に確認してもらった。

証券・投資

テイクプロフィット(利確)

take profit

FXの取引で、含み益のあるポジションを一定の価格で決済して利益を確定させる指値の決済注文、またはその価格。利確・利食いとも呼ぶ。損失を確定させる損切り(SL=ストップロス)と対になる。

エントリーから50pips上にTPを置き、30pips下にSLを入れた。

半導体・電子部品

テストポイント/タッチパネル

test point / touch panel

基板上に設けた、電圧や信号を測ったり試験信号を入れたりするための専用のパッドや端子(テストポイント)で、TP1、TP2 のように番号を振る。開発時の動作解析と、製造時の組み立て直後の動作確認に使う。別の意味として、ディスプレイに重ねて指や手で位置を入力する部品のタッチパネルも、特許文書などで TP と略される。

電源が立ち上がらないので、GNDのTP2を基準にTP1の電圧を測ったら+12Vが出ていなかった。

生命科学・バイオ

チミジンホスホリラーゼ

thymidine phosphorylase

核酸の材料を再利用する経路で、チミジンなどのピリミジンヌクレオシドをリン酸の力で塩基と糖リン酸に分解する酵素。遺伝子名は TYMP だが、TP と略されることもある。血小板由来内皮細胞増殖因子(PD-ECGF)と同一で、血管新生にかかわる。変異はミトコンドリア性神経消化管脳筋症(MNGIE)の原因になる。

このがん組織ではTPの発現が高く、血管新生との関係を調べている。

TPの0mは、荒川の水位から数えている

護岸の図面の端に「T.P.+4.2m」とある。土木の人はそれを、標高4.2mとしか読まない。同じ二文字が健診の結果票にあれば総蛋白、湖の水質調査票なら全りん、関連会社との取引資料なら移転価格、FXの注文画面なら利確になる。基板に印刷された「TP1」はテストポイントで、酵素の論文に出てくれば、チミジンホスホリラーゼのことだ。

七つの業界のTPのうち、六つは英語から来ている。total protein、total phosphorus、transfer pricing、take profit、test point、thymidine phosphorylase。土木のPだけが Peil で、オランダ語の語である。Tも「東京」で、total や transfer や take や test ではない。

Tokyo Peil、東京湾平均海面。標高0mの基準だから、東京湾の海面をはかって決めたのだろう、と思う。

ところが、0mの根拠は東京湾の沖にはない。東京都港湾局の潮位表によれば、霊岸島の量水標(水位を読み取る目盛り)で1873年6月から1879年12月まで観測した結果がもとになっている。そこで得た基本水準面が A.P.、Arakawa Peil で、荒川の水準線という意味のオランダ語の呼び名だ。A.P.に1.134mを足した高さが、T.P.の0mである。

図面のT.P.+4.2mは、1870年代の六年余りの水位記録に1.134mを足して数え始めた高さになる。日本水準原点は、そのT.P.の上24.3900mにある(国土地理院の値。資料により24.414mとするものもある)。国内の標高は、ここから測り継がれている。

Peilがなぜオランダ語なのかは、手元の資料からは確かめられていない。確かなのは、A.P.という呼び名がオランダ語の語で作られていることである。

川や港では、いまもA.P.など別の基準面を使う場合がある。同じ川の別の図面がA.P.で書かれていれば、同じ高さでも数字は1.134mずれる。基準面を確かめずに数字だけを写すと、護岸の高さが1m以上食い違う。

数字が基準しだいで読み替わるのは、ほかのTPも同じだ。総蛋白の基準値はおおむね6.6〜8.2g/dLだが、施設によって差がある。結果票の数字は、その病院の基準値と並べて読むものだ。湖沼の全りんにも、類型ごとの環境基準が1982年に定められている。

図面の端の「T.P.+4.2m」は、霊岸島の量水標で読んだ水位から数えた4.2mである。