略語

VA

ブイエー

5つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。

音楽ビジネス・興行

オムニバス(複数アーティスト名義)

Various Artists

複数のアーティストの楽曲を1枚にまとめた作品で、アーティスト名の欄に「V.A.」と入れる表記。コンピレーションやサウンドトラック、トリビュート盤などで使う。特定の1組に帰属しない作品なので、作品全体の名義をこの形にし、収録曲ごとの演奏者は曲目のクレジットで示す。

このコンピ盤はアーティスト名をV.A.で登録して、収録曲のクレジットは別に載せます。

半導体・電子部品

垂直配向方式

Vertical Alignment

液晶パネルの表示方式の一つ。電圧をかけない状態で液晶分子が基板に垂直に並んで光をほとんど通さず黒になり、電圧をかけると傾いて明るくなる。黒を深く出せるためコントラストが高く、液晶テレビなどで広く使われる。分子の傾く向きを複数に分けるマルチドメイン配向で視野角を広げている。

このモニターはVAパネルなので、暗い場面でも黒が締まって見える。

エネルギー

ボルトアンペア(皮相電力の単位)

volt-ampere

交流の電圧と電流の積で表す皮相電力の単位。変圧器やUPS(無停電電源装置)の容量表示に使う。実際に消費する電力のW(ワット)とは力率の分だけ差があり、交流機器ではVAの値がW以上になる。容量を選ぶときは両方を確かめる。

このUPSは1000VA/700Wなので、接続機器の合計がどちらも超えないか確認します。

機械・生産

価値分析

value analysis

VA(value analysis)とも VE(value engineering)とも略称されるが今日では後者を用いることが多い。

出典:改訂新版 世界大百科事典(平凡社)/コトバンク

製品や部品の機能とコストを組織的に分析し、必要な機能を保ったままコストを下げる手法。購買や生産管理で既存の部品・資材のむだを洗い出すのに使う。VE(価値工学)と同義に扱われることが多く、現在は後者の呼び方が一般的とされる。

調達部門で既存部品のVAを回して、材料の仕様を見直した。

医療・医学

バスキュラーアクセス

vascular access

血液透析で、患者と透析装置の間で血液を循環させるために患者の体側に設ける仕組み。自己血管や人工血管による内シャント、動脈表在化、透析用カテーテルなどの種類がある。透析患者の「命綱(ライフライン)」とも呼ばれる。

次回の透析に向けて、VAの状態を確認しておきます。

1000VAのUPSが、700Wしか受け持たない理由

UPS(無停電電源装置)の箱には「1000VA / 700W」と並んで書いてある。数字が二つあるのは、まだわかる。わからないのは、容量の単位が二つもあって、なぜ小さいほうが本当の上限なのか、というところだ。

答えは、交流にある。直流なら電圧と電流のタイミングはいつも揃っていて、VAとWは同じ値になる。交流では両者がずれることがあり、電圧と電流を掛けただけの値(皮相電力、単位VA)のうち、実際に仕事をする分だけがW(有効電力)になる。W÷VAが力率で、箱の数字なら700÷1000で0.7。UPSが実際に供給できる有効電力は、皮相電力の約7割にとどまる。つなぐ機器は、消費電力の合計が700W以内で、皮相電力の合計も1000VA以内でなければならない。この箱では、700Wのほうが先に頭打ちになる。メーカーの解説(CyberPower)には、機器の合計が700Wなら、余裕を見て出力840〜910W以上を目安にするとある。700W表記のUPSに700Wの機器をつなぐのでは、足りない。

ところで、VとAは、そのまま「ボルト」と「アンペア」である。1V・Aは次元の上では1Wと等しいが、SIでもWと区別するために使うことが認められている。VAという書き方は、Wとは別の量だとわかるように使われる。

同じ二文字が、机のまわりにまだある

UPSをつないだ机には、モニターが載っている。商品説明に「VAパネル」とあれば、これは Vertical Alignment、垂直配向方式の液晶だ。電圧をかけないとき、液晶分子が基板に垂直に並んで光をほとんど通さず、画面は黒になる。電圧をかけると分子が傾いて、明るくなる。黒を深く出せるぶん、コントラストが高い。電気の話をしているのに、こちらは「電圧がゼロのとき黒」が売りだ。

机の外へ出ると、まだある。音楽配信のアルバム一覧で、アーティスト名の欄に「V.A.」と入っていれば、Various Artists。複数の演奏者を集めたオムニバス盤で、特定の1組の名義にならない。工場の購買担当が口にする VA は value analysis(価値分析)で、機能を保ったままコストを下げる手法だ。ただ、『世界大百科事典』(平凡社)には「VA(value analysis)とも VE(value engineering)とも略称されるが今日では後者を用いることが多い。」とあり、いまは VE と呼ぶ職場のほうが多いらしい。透析室なら vascular access、血液を体の外へ回すための入口で、患者の命綱とも呼ばれる。

Vの字だけ数えてみる

  • V:Volt、Vertical、Various、Value、Vascular
  • A:Ampere、Alignment、Artists、Analysis、Access

Vのうち、人の名前なのは volt だけだ。イタリアの物理学者アレッサンドロ・ヴォルタにちなむ。残りの四つは、垂直、さまざまな、価値、血管の、ふつうの語の頭文字である。人名の単位が二つの頭文字に縮まる一方で、四つの専門分野が、それぞれ自分の語から同じ二文字を取った。

モニターの電源ケーブルは、UPSにつながっている。ケーブルの片端の「VAパネル」は液晶の並び方で、もう片端の「1000VA / 700W」は電気の量だ。同じ二文字が、一本のケーブルの両端で別のものを指している。