VR
ブイアール
5つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
仮想現実
Virtual Reality
ヘッドセット(HMD)で左右別の立体映像を見せ、頭の動きを検知して画面に反映することで、ゲームの世界の中にいるような没入感を作る技術と、その対応ゲームの総称。ゲームは仮想現実の代表的な用途で、専用ヘッドセットとコントローラーを使って遊ぶ。ARやMRとは区別して使う。
このタイトルはVR対応で、ヘッドセットを付けると操作画面が視界いっぱいに広がる。
ニコンの手ブレ補正
Vibration Reduction
ニコンのレンズに搭載された手ブレ補正機構の名称。手持ち撮影で生じるブレを抑え、補正がない場合より約3.0〜4.0段遅いシャッタースピードでの撮影を可能にするとされる。レンズ名にVRと入り、鏡筒のスイッチをONにして使う。
暗い室内でもVR付きのレンズなので、三脚なしで撮れた。
ローテーション速度(機首引き上げ速度)
Rotation speed
離陸滑走中、パイロットが操縦桿を引いて機首を上げ始める速度で、このあと機体は地面を離れる。これより遅いと機体は浮き上がらないとされる。離陸決心速度V1、安全に上昇を続けられる速度V2とともに離陸速度の基準をなし、値は便ごとに機体の重量や気象条件などから決まる。
今日は機体が重いので、VRがいつもより高めに設定されている。
可変抵抗器(部品記号)
Variable Resistor
回路図や基板上で、つまみやドライバーで抵抗値を変えられる可変抵抗器(ボリューム、半固定抵抗、レオスタット)に付ける部品記号として使われる。基板の「VR1」「VR2」のように番号を添える。ただしVRは電圧レギュレーター(電圧基準)の記号を兼ねることもあり、近年は可変抵抗器にも抵抗と同じRを使う例が多いため、慣習にとどまる。
基板のVR1をドライバーで回して、出力電圧を微調整した。
ボルテージレギュレーター(電圧調整器)
Voltage Regulator
オルタネーター(発電機)の発電電圧を決まった範囲に保つ装置。電圧が上がりすぎると界磁(フィールド)電流を減らし、低いときは増やして調整する。以前はコイルリレーによる機械式だったが、現在は半導体式が使われる。英語圏の自動車・二輪車の整備資料では、充電系の故障診断でこの装置をVRと略して書く。
バッテリーが過充電になるのは、VRの故障が原因かもしれない。
VR1と印字された部品は、回すものか保つものか
基板の隅に「VR1」と印字された部品がある。ドライバーを差して回すと、出力電圧がわずかに動く。可変抵抗器、つまり回して抵抗値を変えるつまみだ。
そう読んで、たいてい間違いはない。ところが部品記号の一覧は、同じVRにもう一つの部品を並べている。Wikipedia英語版の Reference designator の表では、VRの行は一つしかない。そこに「Voltage regulator (voltage reference), or variable resistor」と、二つが続けて書かれている。電圧を変えるつまみと、電圧を一定に保つ部品が、一つの記号を分け合っているわけだ。同じ表の注記によると、現代では電圧レギュレーターにはIC用のU、可変抵抗にはRを付ける例も多い。
保つほうの実物は、車の中にある。オルタネーター(発電機)の電圧が上がりすぎれば界磁電流を減らし、低ければ増やして、電圧を決まった範囲に収める装置だ。三栄の『大車林』はこれをボルテージレギュレーターと呼び、英語圏の二輪整備の資料(BMW Airheads Club)は、充電系の故障診断でVRと略している。回して動かすための部品と、動かさないための部品が、同じ二文字になった。
残る三つは、電圧や抵抗とは別の話だ。ニコンのレンズでは Vibration Reduction。鏡筒のスイッチをONにすると、補正のない場合より約3.0〜4.0段遅いシャッタースピードで撮れるとされる。航空では、離陸滑走中にパイロットが操縦桿を引いて機首を上げ始める速度で、BAA Training の解説は Rotate と説明している。V1、V2とともに離陸の基準になる速度だ。ゲームでは Virtual Reality で、ヘッドセットが頭の動きを検知し、映像に反映する。
五つのRは、Reality、Reduction、Resistor、Regulator、Rotate と、すべて別の語だった。Vは、Virtual、Vibration、Variable、Voltage までは読める。航空のVが何の略かは、読んだ資料に書かれていなかった。
それでも、いちばん近い取り違えは、他業界との間ではない。一枚の基板の上にある。VR1の隣に別のVRが並んでいたら、どちらがドライバーを待つつまみで、どちらが電圧を黙って保つ部品なのか。二文字だけでは決まらない。