ゾーン
ゾーン
4つの業界で、それぞれ別の意味で使われています。
ゾーン(DNSゾーン、アベイラビリティーゾーン)
zone / availability zone
「ゾーン」とは、DNSで提供される情報(リソースレコード)の集合で、ドメイン名のツリー構造の一部を構成する単位を指す。
DNSでは、1つの管理者が責任を持つドメイン名の範囲と、その情報(リソースレコード)のまとまり。サブドメインを別ゾーンに委任すると、その部分は別の管理者が持つ。クラウドではアベイラビリティーゾーン(AZ)を指すことが多く、電源やネットワークを分けた独立のデータセンター群で、複数のAZにまたがる構成にして障害に備える。
社内ドメインのゾーンを更新したので、権威DNSサーバーへの反映を確認してください。
ストライクゾーン(野球)
strike zone
野球で、投球がストライクと判定される本塁上の空間。上限は打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間点、下限はひざ頭の下部で、打者が投球を打つための姿勢で決まる。打者が打たなかった正規の投球は、ボールの一部分がこの空間のどこかを通過すればストライクになる。
低めいっぱいの球がストライクゾーンをかすめたと判定された。
ゾーンピッキング
zone picking
倉庫を区画(ゾーン)に分け、作業者ごとに担当区画を決めて、その区画内の商品を集める出荷作業の方式。担当区画の外へ歩かないので移動時間が減り、ピッキング効率が上がる。
出荷量が増えたので、ピッキングをゾーン制に切り替えて歩行距離を減らした。
売場のゾーン(ゾーニング)
zone / zoning
小売店の売場づくりで、商品を分類し、どの分類の商品を売場のどこに置くかを決めることをゾーニングといい、そうして割り当てた売場の区画をゾーンと呼ぶ。
改装で、日用品のゾーンを入口近くに移し、食品のゾーンと隣り合わせにした。
ゾーンの線は、誰が引くのか
同じ高さを通った球が、ある打者にはストライクで、別の打者にはボールになる。野球のストライクゾーンは、規則の上でそうなるようにできている。
全日本野球協会・日本野球連盟の審判資料によると、上限は打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間点、下限はひざ頭の下部で、その間の本塁上の空間がストライクゾーンになる。資料はさらに、このゾーンは「打者が投球を打つための姿勢で決定されるべきである」と続ける。高さの数字は定義に出てこない。物差しは打者の体にあり、背の高い打者の枠は高い位置に、深く構えた打者の枠は低い位置に来る。
では、同じ語を使うIT基盤の「ゾーン」では、線を何が決めているのか。
DNSのゾーンは、1987年11月のRFC 1034に書かれている。名前の木の隣り合う二つのノードのあいだには、どこにでも「cuts」(切れ目)を入れられ、切り終えたあとにつながったまま残った一群が、それぞれ別のゾーンになる。ゾーンを持つ組織は、中のデータを「unilaterally」、つまり一方的に変えられる。切れ目の位置を決めるのは、打者の肩やひざのような外の基準ではなく、どこから先を別の管理者に任せるかという判断だ。
クラウドのアベイラビリティーゾーンは、同じ語でも分けるものが違う。AWSのホワイトペーパーによれば、電源やネットワークを分けた独立のデータセンター群で、複数にまたがる構成にして障害に備える。線は、故障を隣へ広げないために引かれている。
倉庫のゾーンピッキングでは、線の理由が作業者の足になる。倉庫を区画に分け、作業者ごとに担当区画を決めれば、区画の外へ歩かないぶん移動時間が減る。
売場のゾーニングは、もう少し見えにくい。解説記事は、客の目線や店内の動線を考えて商品を配置するとし、入口付近には季節商品やセール品、奥には目的買いされる高価格帯の商品を置く例を挙げている。線は商品の分類と、客が歩く道筋のあいだで引かれる。
並べると、ストライクゾーンだけが違う。DNS、AZ、倉庫、売場の線は、責任、故障、歩数、客の足と、引く人の目的に合わせて引き直せる。ストライクゾーンの線は打者の体から決まり、外から引き直すことができない。構えを低くした打者の枠が下がるのは、そのためだ。